飲食店に経営理念がなぜ重要なのか?作り方とスタッフへの浸透の仕方

私は飲食店経営を25年して参りました。

その中で数々の失敗を繰り返すなかで、
成功する店(繁盛店)にはあって、
失敗するお店にはないものがあります。

それは「経営理念」なのです。
私は経営理念こそ飲食店経営の全て
だと思っています。

今回の記事では、
成功するお店の必須条件である
経営理念の重要性をお伝えします。

繁盛する飲食店の条件

繁盛する飲食店の特徴として、

  • スタッフ一人一人の夢ビジョンが、経営者と共有できている。
  • 時間、あいさつ、身だしなみがしっかりと出来ている。
  • 時間管理が出来ている。(守っている)
  • スタッフの自己重要感をあげる工夫をしている。
  • 清掃が、行き届いている。
  • 活気がある。
  • 返事が気持ち良いぐらい良い。
  • スタッフみんなが数字を意識している。
  • 店長、女将、料理長が数字に明確である。
  • 報告連絡相談が徹底している。
  • 朝礼、夕礼、終礼をしっかりと意図を持ってやっている。
  • 経営理念に基づいた志事をしている。
  • 経営者の思いを形にしている。
  • 離職率が低い(年間15%以下)
  • 人間関係が良い(人時売上げ高4,500円以上)
  • 神棚を大事にしている。

私が考えただけでざっとこれだけ
出てきます。

これら全ての内容の土台となるものが
経営理念なのです。

経営理念の重要性

経営理念はただあるだけでは意味がありません。
明文化され具現化されているっことが重要です。

丘里の経営理念

経営理念を掲げて経営している
飲食店個人店はほとんど見かけません。

コンサルティングに入った飲食店でも
結構な規模の会社でも経営理念がない
会社も見受けます。

が、敢えて言います。
経営理念こそ飲食店経営の全て
だと言い切れます。

経営理念とは、
どういう想いで経営をしているのかを
明文化したものです。

・料理に対する考え方
・接客に対する考え方

明文化してあれば、
スタッフが働く時の基準となり、
問題に当たった際に対応できます。

経営理念の作り方

丘里の経営理念は、
飲食店経営関連のセミナーに出て、
経営理念が大切だからと言われ、
できたものではありません。

丘里の経営理念の誕生の話をするには、
経営三信条の話をしなければなりません。
この経営三信条が誕生のきっかけなのです。

1988年4月に両親から洋食喫茶丘里を
引き継ぎ和食メニューを出していました。

徐々に口コミで評判が広がり、
お客様も増えてきたときのことです。

今の丘里の名物メニューである
かにまんじゅうを食べたいた常連さんが、

「これらのメニューを組み合わせて、
コースメニューを作ったほうがいい」

とアドバイスをいただきました。

その後、
和食の店として改装することになり、
コースメニューを作ることになりました。

和食でよくある「雪」「花」「月」だと古いな
と思い悩んでいたところ、

「まごころ」
「あじわい」
「もてなし」
「ときめき」
「しあわせ」

どういう想いで自分が料理を作っているか
というひらがな四文字の言葉が降りてきて、
それをコース名にしました。

このコース名がその後、
経営の三信条になるのです。

・私達は、まごころをこめてお客様におもてなしの心で接します。
・私達は、おいしい商品づくりを考え、お客様に喜んでいただけるように努力します。
・私達は、お客様に心ときめくひとときを演出し幸せな気持ちになっていただける空間を創ります。

丘里経営三信条

この三信条は、
丘里創業時の想いを詰め込んだ言葉
でもあります。

信条とは行動の指針として
固く信じて守っているものです。

後に、この三信条に基き、
経営理念などが出来上がっていく
のです。

コースを作るきっかけを与えてくれた
常連様には今でも感謝です。

経営理念が飲食店に与える効果

経営理念を作って
弊社が変わった最大の効果は、
スタッフの離職率が減ったことです。

もちろん色々な効果がありますが。

私は一時人がどんどん辞めて、
労務倒産しそうになったときが
ありました。

その当時の私は、
スタッフが辞めたらまた採用すれば良い
だけのことだと思っていました。

三信条はありましたが、
掲示をしてスタッフに周知していた
わけでありませんでした。

きっかけは、
静岡の有名ハンバーグチェーン店
さわやかさんの経営理念が書いてある
小冊子を拝見したときのことです。

さわやかさんでは、
何かあったときはこの経営理念に基づいて、
行動をしていると聞きました。

要は判断基準になるのです。

このことを知って作ったのが、
後述する小冊子です。

この小冊子に創業当時の想いを詰め、
朝礼やミーティング時に伝え、
何回も共有します。

そうすることで、
働くスタッフたちに私の飲食店経営の想い
が伝わり離職の防止に繋がったのでしょう。

経営理念はあり方を示す道標

私は飲食店経営において、
やり方とあり方が大切だと
考えています。

やり方とあり方は車で言えば両輪で、
どちらが欠けても経営はうまくいきません。

やり方とは、
どうやって作るのか?
メニューをどうするのか?
などマニュアルなど方法を示します。

実はやり方よりもあり方が重要です。

あり方とは経営者の意図・想いです。
つまり経営理念につながるわけです。

このあり方があれば、
やり方を考える際の判断基準に
なるのです。

経営者の意図や想いである経営理念
を無視して行動すれば、
3ヵ月であなたの飲食店は無くなります。

恥ずかしながら、
私もそれを放置して、
大変な思いをしたことがあります。

経営理念を浸透させることが大切

せっかく作った経営理念も、
お店にかかわるスタッフ全員が
共有化していないと意味がありません。

浸透させる方法は、
基本朝礼とミーティングです。

丘里は朝礼を特に大切にしています。
その中で経営理念を始め、
経営三信条を確認しています。

以前は経営理念や経営三信条などを
32ページの小冊子にして、
全スタッフに配布しておりました。

小冊子の中から大切な部分を
抜き取って試験もやっていました。
それほど経営理念を重要視しています。

余談ですが、
私の本「それは人材革命から始まった」は、
この小冊子を見つけた出版社の方が話を
持ってきてくれ出版となりました。

その他に、
丘里には年に1回「経営方針発表会」が
あります。

2021年経営方針発表会での朝礼コンテストの様子

今年で21回目になります。
この経営方針発表会の開催される日は、
全店舗休みにします。

1日休めば、
当然売上は落ち、ロスは出ます。
でも休みにしても開催します。

会社のスタッフ全員が参加し、
会社一丸となって方向性を確認する
とても重要な場です。

この年1回の経営方針発表会で、
丘里の想いである経営理念や三信条
をスタッフ全員で再確認するのです。

全店舗休業にしてでも、
開催する価値があるから開催するのです。

経営理念のスタッフの浸透こそ、
周知徹底こそ飲食店経営成功の近道
だと確信しています。

飲食店経営は簡単なようで難しいのです。

1店舗だけならあなたの力だけで
どうにかなりますが2店舗目を出店
した時点でそれは大きく変わります。

私のような失敗は
皆さんにはしてほしくないのです。

だから私が主催する研修においては、
やり方の他に在り方のプログラムを
入れているのです。

飲食店はピープルビジネスです。
人が人を喜ばす仕事です。

その店の主が
どんな人でどんな考え方の人がいるか?
これにつきます。

人材を人財にするのもあなた自身ですよ。

この記事を書いた人

中村 康彦
中村 康彦フードスクエアカンパニー代表
丘里グループは創業50周年を迎えることができました。食を通じて「喜び、幸せ、そして感動」をモットーニ「人」の魅力で他の飲食店と差別化を図り、地元茨城県古河市でナンバーワン企業であり続けることを目指しております。

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