飲食店が人件費を削減するときのポイント

2024年4月11日更新

原料費、光熱費、人件費の
昨今の値上がりの仕方は
飲食店にとって厳しい状況です。

その中でも
私が一番重要と考えているのが
人件費です。

単純に人を減らせば、
顧客満足度が落ち、
お客様がリピートしません。

今回の記事では、
顧客満足度を上げながら、
人件費をコントロールする手法
をお伝えいたします。

飲食店で人件費の削減を考える理由

なぜ飲食店において人件費の削減を
考える必要があるのでしょうか。

その理由は、
飲食店の利益の最大化は人件費次第
だからなのです。
もちろん原材料費もありますが。

よく言われるのが飲食店は、

  • 人件費30%以内
  • 原価率30%以内
  • 光熱費等を含めた諸経費15%以内

で管理する事によって、

最終利益が5~8%出る

と言われています。
上記数値から残った25%は、
店長の管理下にない数値になります。
(本部費、家賃、減価償却費、支払い利息等)

人件費と原材料は飲食店の2大経費です。
この2つをしっかり管理できるかどうかで
利益の額は変わってきます。

もっと言えば、
店長の評価はこの2つがしっかりと
コントロールできているかです。

画像はイメージ(写真ACより)

人件費を削減しようとしたときの基本的なアプローチの仕方

実際に人件費を削減しようとしたとき、
どのようにアプローチをしたらよいか
をお伝えします。

  • 売上げを上げる
  • 単価を上げる
  • 来店頻度を上げる

の3つの事を同時にしながら、

以上を同時に進行していきます。

削減というと後ろ向きに聞こえる
という方もいらっしゃると思いますが、
決して後ろ向きな内容ではありません。

前向きに客数を増やして、
説明力と提案力を上げることで
お客様の単価を上げ、
次につながる販促や圧倒的な顧客満足度
を上げる事に全神経を傾けましょう。

また人間関係を良くするために、

  • 承認しあう
  • ありがとうの溢れる職場にする
  • 頑張った日には大入り手当てを出す

日々のスタッフへの働きに対し、
感謝を伝えることで離職率を下げることで、
人件費は下がるのです。

画像はイメージ(写真ACより)

飲食店の人件費の基本的な考え方

飲食店の人件費は
人件費率 = 総人件費 ÷ 売上高
でコントロールします。

人件費率を30%以内にできる
ようコントロールします。

ここで問題になるのが
「総人件費」とはです。

総人件費とは

総人件費とは、
文字通りのことで人に関わる
全ての経費を含むことになります。

もちろん社員もスタッフも
合わせて金額になる他、

  • まかない代
  • 交通費
  • 社会保険料
  • ユニフォーム代
  • 賞与積立金

上記の経費も全て人件費として
私は計算しています。

ユニフォーム代や社会保険料なども人件費

丘里ではユニフォームは支給しますが、
クリーニングは各自で行ってもらって
います。

社員やパート社員のスタッフは、
社会保険料が引かれます。
引かれた金額と同じ金額を会社が
負担しています。

意外にこのことを知らないスタッフ
が多いので店長は伝えましょう。

求人費用も大きな人件費

求人費用も人件費です。
人間関係を良くして離職率を下げて
いきましょう。

人がやめない店づくりも重要な要素です。
1人採用するのに私の会社では4~5万円
かかります。

社員の場合は40~50万円です。

人がやめない店づくりも
人件費を押さえるために重要な要素
になります。

この事はまた別の機会に詳しくお伝えいたします。

せっかく採用したスタッフ大切に育てましょう

人件費をコントロールする際のポイント

人件費をコントロールするには、
基本社員1名に対して200万円の売上高
を作るように私の店では考えています。

プラス、パートアルバイトスタッフで
コントロールを考えています。
その方法を詳しく解説していきます。

シフト管理がまずは重要

先ずはシフト管理が重要です。
人件費のコントロールはシフト管理
でします。

1時間あたり
1人4,000円~4,200円以上売れる
シフトを作ります。
人時売上高と言います。

大事なことは、
ピークの時間帯に一番スタッフを多く配置し、
お客様が少なくなる時間にスタッフを休憩させる
メリハリをつけてコントロールすることです。

またシフトには、
時間帯ごとの仕事の内容を1時間毎に
ホール、キッチン共に書き出します。

掃除等は
毎日やる場所、週一でやる場所
月一でやる場所を明確にします。

このようにすることで、

  • 暇になった時間に何をするか
  • 忙しいときにできない掃除を日々落とし込む

ことができます。

画像はシフト表のイメージ(写真ACより)

仕込み量とその時間割当が大切

次に大切なこととして、
予測売上高に応じて仕込みの量を決める
ことです。

シフトにおいて、
余剰人員は置きませんから、
これをミスると店が廻らなくなります。

店長は予測業でもあります。

行事日程、天気、スタッフの体調等
あらゆる情報からシフトを作りましょう。

私どもはシフトは、
30日前に作り2日前から微調整をします。
ここで最終的なシフトを綿密に作ります。

仕込み量は通常やる分量が決まっている
と思います。

しかし予約状況によっては、
仕込み数が変わる店もあります。

基本は
オープンまでの60分~90分で完了
できるような人員配置にします。

ただし、
前日のうちにできることもあるでしょう。

丘里では、
ここまではやってもOKだけどこれ以上はダメ
という仕込みの基準があります。

この基準を無視してしまえば、
商品の品質は確実に落ちてます。
丘里では社長基準と言っています。

丘里では仕込みを全員で一気に行い、
営業始まったら仕込みはやめ、
キッチンスタッフ全員で提供にあたります。

そうすることで、
提供時間を短縮し
回転率を上げています。

お客様が引けば、
不足している分を仕込むこともあります。

ラストオーダーの時間後が勝負!

ラストオーダー後のスタッフの動きは、
かなり重要だと位置づけています。

なぜなら、
ラストオーダー後はどうしてもスタッフ
の仕事のスピードが落ちるからです。

店長が最後まで気を抜かないで
スタッフを鼓舞しながら仕事をすると
人件費の削減にも繋がります。

ラストオーダー後の片付けを
どれだけ早く終えるかがポイントです。

ラストオーダー後は売上はありませんから。
ラストオーダー後から退店するまでの時間
を短縮する事で人件費と光熱費の削減になります。

最近感じていることとして、
ランチの出だしが早く夜は早めにお客様げ引ける
飲食店も多いのではないでしょうか?

このような時代背景もあり、
丘里の店舗はオープンを11時半→11時、
ラストオーダーを21時半→20時半に変更しました。

結果、人件費と光熱費の削減に繋がりました。

数値をスタッフ全員が理解し、
ゴールを明確にして仕事をすることで、
スタッフの動きは変えていきましょう。

人件費削減の鍵は社員の残業代かも

今まで人件費について述べてきましたが、
実は人件費の削減はスタッフの時間数より
社員の残業代が大きいことが多々あります。

以前は予想売上げが外れて暇な日は、
パートアルバイトスタッフを早めに上げ、
社員だけで営業した時代もありました。

しかし今は法的な問題もあり、
パートアルバイトスタッフではなく、
社員を早めに上げています。

社員の契約にもよりますが、
忙しい日に残業代をつけるようにし、
忙しくない日は早く上がってもらう方が
今の時代にあっているのです。

173時間以上は25%の残業代がつくことも
一般的にはありますので、
店長は頭の中に入れとくことが大事です。

そうなると、
パートアルバイトの戦力化は必須条件
になります。

これをチームでなるべく早く戦力になるように
トレーニングしていくことが重要です。
私はワンポジション15日~20日と考えています。

私どもの店は和食店ですが、
個人差はありますが煮炊き物以外は
3年間でマスターできるように設計しています。

マニュアル等のツールも大切ですが、
最終的には教えるトレーナーの情熱が
スタッフの育成の肝だと痛感しています。

私どものお店で何人かのスタッフを使って
実験したのですが、

全く出来ないスタッフを育てるためには
90%はトレーナーの力だと言っても過言
ではありません。

店舗運営責任者として、
しっかりコントロールできるように
育成及び指導して行きましょう。

この記事を書いた人

y.nakamura
y.nakamura
地元古河市で和食店の異なる業種を複数店舗経営しております。女将を中心とした店作りは複数のメディアで紹介されています。売れるメニュー提案を中心としたコンサルティングをしております。

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