飲食店の利益に直結するフードロスを減らす対策あれこれ

2023年12月31日更新

飲食店にとって、
フードロス(食品廃棄)は避けて通れない
問題の1つです。

飲食店のフードロスは、
飲食店の利益に直結し多ければ、
飲食店経営を圧迫します。

フードロスを0にするというより
限りなく0に近づける取り組みが
大切になってきます。

今回の記事では、
飲食店のフードロスを減らす対策について
弊社の取組内容を含めてご紹介します。

飲食店がフードロスを減らす重要性

今飲食店から出るフードロスが問題
になっています。

フードロスとは、
本来本来食べられるのに捨てられてしまう
食品のことを指します。

日本ではまだ食べられるのに、
廃棄されてしまっている食材や商品が
山ほどあるのです。 

フードロスと言っても、
様々な過程から発生しています。

  • 料理を作っている生産過程
  • 食べられるので捨ててしまう
  • 仕入れた原材料を傷めてしまう
  • お客様の食べ残し

などです。

このようなフードロスの飲食店側から
の最大の問題は原価率が上がってしまう
ことです。

一般的に
飲食店の原価率は30%が目安です。
もちろん業態によって変わります。

原価にはロス額が含まれるため、
ロス率が上がれば当然原価率は
上昇します。

だから多くの飲食店で
フードロスを減らすことに
取り組みます。

しかし一番は、
料理にたずさわる者として
食材を全て使い切るという想いです。

この想いこそ大切で、
生きている食材に対しての最低限の礼儀
に通ずるのです。

ゴミを減らすということは環境にも優しく、
循環型の経済をまわす上でも、
地球環境を考える上でも重要です。

やはり食材を作ってくれた方、
食材を供給してくれた方への
感謝と恩返しなのです。

捨ててしまうものも活かすことができるのです!
画像はイメージ(写真ACより)

フードロス量や食品廃棄物料の把握の仕方

フードロス金額を把握していますか?

フードロス金額は、

  • 食材の期限切れ廃棄
  • 料理作業時のミスによる廃棄
  • 仕入れミスによる廃棄

などにより発生した廃棄の金額です。

フードロス金額を把握するために、
廃棄食材チェック表なるものを作り
一般的にはチェックします。

弊社では仕込みの時間は廃棄する物
をボールに取って最後に料理責任者
が確認しています。

このときにポイントとなるのは、
食材に捨てるものはほぼないと
いう意識です。

レタス、キャベツ、ネギなどは
ほとんど使えるのに仕込みの時に
廃棄してしまいがちです。

大根・人参の皮は炒め煮などにして
小鉢に使えます。

肉の筋は煮込み、
鮪の皮や魚の皮は湯がいて料理
になります。

この点については、
弊社主催の料理長研修などで
レシピも含めお伝えします。

要は、
料理にたずさわる人に捨てる部分も
「お金なんだ」という認識を持つ事
がとても大切です。

廃棄を減らす工夫あれこれ

お店のフードロスを削減する上で
弊社で取り組んでいる4つの対策
をご紹介します。

仕入れ数及びロット数のコントロール

小ロットで仕入できる様に
取引業者との交渉が大事です。

多店舗化していれば本部で仕入れ
店舗で分ける事も在庫をおかない
重要なことです。

仕入れの様子

発注精度を上げる

2022年9月7日加筆部分

適正な発注とはどんな発注を指すのでしょうか。

簡単に言えば、
営業に必要な分だけ発注する
ことです。

そのためには、
過去3年間の日報などをみて、
現実的な売上の予測をします。

予測に基づいて、
計画→実行→確認→コントロール
するのです。

当然平日と週末祝日は違います。
この売上予測が±5%以内なら合格
と考えて良いでしょう。

このときに、
発注してから納品迄日数がかかること
も知っておかなければなりません。

もちろん仕入れ業者の数は絞ります。

月末には二人一組で棚卸しをしますが、
ここでは公式のみにしておきます。

原価率 = (期首棚卸し高+期中仕入高-期末棚卸し高) ÷ 売上高 × 100

たまに
仕入れ額÷売上高で原価率を出す店がありますが、
これは間違いです。

画像はイメージ(写真ACより)

発注表に基づいて発注

発注表はありますか?

在庫を見る時に
食材数が1未満の時は0と見るなど
発注時のルールを作ります。

出来れば毎日配送業者にしましょう。

そうすれば、
品質向上や店舗の在庫やスペースも
少なくてすみます。
在庫のカウントミスもなくなります。

食材は賞味期限があります。
冷蔵、冷凍、チルドとかありますが、
劣化は始まっているのです。

過剰在庫をもたず、
いつも新鮮な食材の品質を保つことが
大事です。

1ヶ月にどれくらいの商品数が出ているか
ABC分析をすることが大切です。

A部門の商品が全体の30%未満の場合は、
看板商品が認知されている。
オペレーションがよい。
生産性が高い。
メリットがあります。

B部門、C部門は捨てるのか?
これも違います

居酒屋業態の場合、
A部門だけですと他店との差別化がし辛く
なります。

このABC分析をすることで、
お客様が支持してくれる商品、食材、
提供方法、価格帯がわかります。

ここから算出される理論原価率といい、
実際原価率との差がロスであることもわかります。

仕込み後の半製品の原材料の工夫

多分、この部分が他の飲食店と比べ、
弊社が結果を出している部分だと考え
ています。

弊社では仕込んだ商品及び食材を、
3D冷凍庫を使ってロスゼロを実現
しております。

3D冷凍庫はかなりの優れものです。
スチコンと真空調理機を併用することで
フードロスはほぼなくなります。

3D冷凍庫とは?

3D冷凍庫は食材の細胞を壊さずに
0度~-5度を一気に通過して冷凍する
冷凍庫です。

弊社の3D冷凍庫内の様子

煮物、玉子焼き、焼魚などの料理類、
わらび餅、杏仁豆腐、プリンのデザート類
更に寿司、釜めしまで冷凍しています。

まぐろやカンパチなどの魚は
安いときに大量に仕入れてさばき、
仕込んで冷凍しています。

3D冷凍庫の特徴として、
一度冷凍した食材は解凍しても
ドリップが出ないことです。

から揚げや天ぷらの揚げ立ても冷凍出来ます。
ただし、コンニャク関係は出来ません。
解凍するとゴムみたいになっちゃいます。

平日の空いている時間に作り、
冷凍することで
週末に早出しなくてもよくなります。

仕出し料理に使う海老天ぷらも
平日揚げて冷凍して、
週末に野菜だけ揚げる感じです。

週末などの繁忙期に
たくさん注文いただいても慌てずに
対応できます。

弊社には100名規模の法事を賜る
ことが多々ありますがこの仕組の
おかげですぐに対応できます。

尚、この3D冷凍庫の活用した
半製品の仕込み方法についても
料理長研修でお伝えします。

スタッフのオーバーポーション対策

スタッフにはトレーニングとして、
50gの切り付けをしてもらいます。

2~3切れ50gに切ったものを
まな板の前に置いてビジュアルでも
頭に入れてもらいます。

この切りつけするトレーニングを
毎日勤務最初にやってもらいます。
そして毎日繰り返してもらいます。

また機械を活用することも大切です。
同量のご飯をふっくら盛り付ける
ロボットなどあります。

また多少原価は上がりますが、
肉は業者にカットして納品してもらいます。
作業人件費を考えるとベターな方法です。

未来のフードロスをなくす取り組み

プロフィールにも書いておりますが、
私は以前ベルギーの和食店で修行して
おりました。

日本の飲食店では
同じ大きさ、同じ種類、同じ味を求め、
均一の物を提供することが良しとされ
てきました。

私が仕事をしていたヨーロッパでは、
形が悪いもの、基準以下以上のもの
でも市場には出回っていました。(40年前)

先日、
スペインの美食の街サン・セバスティアン
に行ってきました。

スペインのバルのカウンターに並んだトマト

市場には形の不揃いの物が多く並び、
トマトなどには「醜いトマト」と名前が
付いていました。

レストランの中でも食材や
スペイン名物のビンチョス等に使われて
いました。

形状よりもいかに美味しく食べてもらえるか?
を考えて料理人も商品作りをしています。

これが結果的にフードロスにつながり、
無駄なく使いきる、売り切ることで
生産者にも環境にもお客様にも貢献する
ことになるのです。

国内でも昨今フードロスに関しては、
店もお客様も意識が高まっております。

丘里でもご飯の量は少なめにして、
おかわりをサービスしております。

どれくらいのボリュームがあるかを
接客係が説明することで残るものを
少なくすることに努めております。

宴会料理に関しては、
食べきりのボリューム感で提供したり、
お持ち帰りのできる焼きおにぎりにして、
フードロス削減に努めています。

残飯が出てしまえばゴミになり、
そこにコストをかけて業者に処分して
もらわなければなりません。

私たち飲食店の仕事は、
命の元である食材を使いきり、
お客様に最後まで食べきっていただく
ことだと思っております。

これからの時代は、
環境と経済のバランスを取りながら
グリーンな経済を回していく、
循環型の経営をしていかなくてはなりません。

今、私は
店に生ゴミ処理機を置き、
出来上がった飼料を畑にまき、
契約農家でお米を作ってもらい、
野菜を作ってもらえたらと考えています。

茨城県のフードロスを考えて取り組む企業
にも登録をしております。

仕入れもその日に使いきる分だけ仕入れて、
余ってしまった食材は商品開発をして、
3D冷凍庫等を使って商品を作ります。

もちろん、
必要以上のオーバーポーションや仕込み
を無視した仕込みは原価と人件費や光熱費
を圧迫します。

このようなコントロールは、
もちろん、店長や料理長の仕事です。

しかし、
1人1人のスタッフがフードロスについて
意識を高める勉強会を開催することも大切
だと思っております。

食材は生きています。

食材を生産してくれている方、
食材を作って下さる業者の方、
納品業者の方
お客様
そして料理を提供していて私たち飲食店全て

お互いWin-Winになれる様努めていくことが
21世紀を勝ち抜く飲食店の繁盛のポイントに
なるのではないでしょうか?

私どもの料理長研修では、
実際に食材を最後までどのように使いきるのか
を実習を通じて体験していただいております。

一昔前と違い、
3D冷凍庫やスチコンなど様々な
フードロス削減のための調理機械が
今はあります。

活用しながら、
フードロスを減らす取り組みを
進めて行きましょう。

この記事を書いた人

中村 康彦
中村 康彦フードスクエアカンパニー代表
丘里グループは創業50周年を迎えることができました。食を通じて「喜び、幸せ、そして感動」をモットーニ「人」の魅力で他の飲食店と差別化を図り、地元茨城県古河市でナンバーワン企業であり続けることを目指しております。

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