飲食店におけるメニュー数、メニューの価格帯、メニュー構成の考え方

2023年7月31日加筆

飲食店の命とも言えるメニュー。
メニューがおいしいからこそ、
お客様の来店がありリピートします。

そんなメニューですが、
多くすればお店が大変ですし、
少なくすれば顧客差満足度が下がる
恐れがあります。

今回の記事は、
飲食店の命でもあるメニューについて、
丘里流の作り方をお伝えします。

基本的なメニュー構成の考え方

丘里ではメニューを

  • 売れ筋メニュー(馴染み商品)
  • 売り筋メニュー(説明しないと売れない商品)
  • 名物メニュー(この店でしかない商品)

の3つに分けて考えることにしています。

売れ筋メニュー

どこの店にもある売れ筋商品。
お客様の馴染みの商品であり、
出数では上に来ます。

だからといって、
馴染み商品だけでは大手居酒屋チェーン店の
メニューと代わり映えしません。

もっと言えば、
その店に行く理由が作れません。

売れ筋メニューで集客するなら、
通常の1.3倍のボリュームにするか、
通常の30%減の価格設定にする
しかありません。

売り筋メニュー

売り筋商品はどこにでもある商品だが、
説明をしないと売れない商品です。

丘里では、
鯛のかぶと煮、だし巻き玉子、各種おばんざい
がこれに相当します。

これは説明力がないと売れません。

ですから、
丘里ではこの接客力ではない説明力を
徹底的に研修で掘り下げています。

丘里の鯛のかぶと煮

名物メニュー

名物商品です。
これはあなたのお店にしかない商品ですから、
自由に価格がつけられます。

しかしながら、
業態にあっていないと売れません。
美味しい料理と売れる料理は違うのです。

3つのメニューの割合

定番馴染み商品40%
売り筋商品30%
名物商品30%

の割合でグランドメニューを創ると良いです。

上記3つのメニューについては、
別記事「売れるメニューの開発ポイント
でも触れております。
ご参照下さい。

メニュー数の考え方

メニュー数は業態にもよりますが、
焼き鳥店、てんぷら店、寿司店等では
主力商品がそれぞれ30種類あると
何屋なのか伝わります。

その他は、サイド商品です。
割合で言うえば、
70%以上が主力商品であることです。

この割合は珈琲専門店でも、
パスタ専門店でも同じだと言えます。

御膳を中心としたお店でも、
種類は違っても最低15種類出来れば、
30種類あることが望ましいです。

その中で利益率の高い商品を
説明力でおすすめする事で
店に貢献する商品になります。

「ここに来たらこれ!」
というあなたの店にしかない
メニューを開発することが重要です。

回転寿司等超専門店では、
70~100種類があると良いです。

要はメニューからでも何屋か?
わかるメニューブックを作りましょう。

メニューの価格帯の考え方

次にメニューの価格の幅ですが、
均一価格が一番集客に繋がります。
価格は分かりやすことが大切です。

均一価格が出来なければ、
3プライスにします。

昨今原料費の高騰で、
なかなか難しくなってきました。
価格帯を多くすることはお勧めしません。

例えば、
480円、500円、530円があるのなら、
3つ共に500円にします。

飲食店では
客単価÷5.5=一品料理単価です。
(ドリンクも一品単価に入ります。)

寿司店、焼き鳥店等は20で割ります。
例えば、
客単価3,000円の焼き鳥店でしたら、
単品焼き鳥を1本150円にします。

3,000円÷5.5=545円(550円)
ですからこれを中心としたした
品揃えをします。

最下限価格は、
×0.7で381円(380円)です。
上限価格は、
×1.3で715円(720円)です。

これはあくまでも基本ですが、
特別な商品であれば個数を限定して、
980円~1,200円でも良いと思います。

高単価商品があっても、
最下限価格が安い商品があれば、
高いイメージにはなりません。

私の店ではランチの時間帯の
客単価が1850円の店がありますが、
限定15食で980円のランチをやっています。

オープンして3~10分で完売です。
そういう商品があれば高く感じないのです。
(御膳で1000円未満)

画像はイメージ(写真ACより)

メニューを変える時期と頻度

先述の3つのメニューを
グランドメニューの中に入れて
戦略的にメニューを創ります。

グランドメニューは、
フルモデルチェンジ → 3年に1回
マイナーチェンジは → 1年に1回

は最低でもすると良いでしょう。

私共は

  • 3月4月5月を春
  • 6月7月8月を夏
  • 9月10月11月を秋
  • 12月1月2月を冬

と位置付けて、
その7日から10日前から季節メニュー
をスタートしています。

私共は女性がターゲット客層なので、
季節の演出として冬から春になるときには、
スタッフの口紅も薄い桃色を推奨します。

尚、馴染み商品は、
ボリュームと価格面で原価が上がる
傾向にあります。

よって、売り筋商品と名物商品で
原価を調節する粗利ミックスという方法で、
目標原価に近づけましょう。

2022年春メニュー

食材の旬を大切にしメニューに反映する

和食ほど料理の季節感を大切にする
料理はないと思っています。
食材には季節=”旬”があるからです。

1年で4つの季節である
春夏秋冬をお客様に感じていただく
ことが大切なのです。

定番メニューに季節感を出す

まずは定番メニューに季節感を
演出しましょう。
方法はいろいろあります。

例えば、刺身盛り合わせ。

魚種で季節を感じてもらえますが、
大根のつまの中に旬の野菜を混ぜて
季節感を出すことができます。

例えば、
春は茗荷竹、夏は胡瓜やかぼちゃ、
秋は炙った椎茸の千切り、冬は根菜等です。

私どもの名物商品である鯛のかぶと煮は
前盛にする炊き合わせを季節毎に変えれば、
春の鯛のかぶと煮、夏の鯛のかぶと煮…と
季節を感じていただけます。

とんかつメニューでは、
キャベツの千切りの中に季節の野菜
を混ぜます。

味噌汁の具材は、
月に2回は変えたいですね。
漬け物も季節の野菜を付けることで変わります。

ご飯も白ご飯と季節の炊き込みご飯を
選ばせることも必要です。
やはり和食は旬を売ることが大事です。

メイン商品を変えることも当然ですが、
付け合わせや中に混ぜるものも季節のものを
入れることで季節を感じてもらいましょう。

刺身盛り合わせに飾る花もできますね。
今の季節なら桃の枝等でしょうか?

日頃花屋さんで季節の花なども見て、
料理の飾り付け、店内の一輪挿し等
の参考にしましょう。

おすすめメニューも、
季節メニューもちょっとだけ早めに季節を
先取りすると良いですね。
(コンビニのお弁当等はかなり早めですが。)

旬 季節感 食材
画像はイメージ(写真ACより)

季節の行事を大切にする

春は歓送迎会、卒業、入学、就職、役員交代等
お祝い事が多い季節です。

今の時期なかなか集まれませんが、
仕出し弁当は高額な弁当が売れます。

なぜでしょうか?

春は子供のために使う行事が多いので、
普段ファミリーレストランに行っている
家族も晴れの場を求めます。

となれば、
ワンランク上のおもてなしのある店
を選ぶのです。

「子供のためなら」
と親は奮発するのです。

店内においても、
季節メニューに子供さんが大好きな
メニューを加えます。

エビの大きいものが入った天ぷら、
エビフライ、ステーキ、マグロ中とろ、
大トロ、サーモンの刺身…などなど

子供さん中心に季節メニューを組み立てます。

普段ファミリーレストランばかり利用し、
なかなか来ていただけないお客様に来店
していただくチャンスです。

しっかりと女将さんが名前を覚えて、
関係性を作ることで次に繋がります。

このように季節によって
普段来店がないお客様にアプローチする
チャンスになるのです。

新規開拓の絶好のチャンスになるのです。

おすすめメニューの考え方

どこのお店でも
おすすめメニューを設定している
ことと思います。

ところでおすすめメニュー
何日に一回変えていますか?
結論は毎日変えると効果的です。

書き出しは○月○日○曜日
本日のおすすめ品です。

新規のお客様は
グランドメニューから選びます。

しかし常連様は、
季節メニューとおすすめメニュー
から選びます。

月1回の来店でよいのなら、
月1で変えれば良いですが、
常連様のためにも頻度を多くします。

今コロナ禍において、
お店の売上を助けていただいているのは、
間違いなく常連様のお客様だと思います。

毎日来ていただきたいのであれば、
毎日全部ではなくとも半分だけでも変える
と新鮮な感じがします。

やってみてはどうでしょうか?

品数は7品~30品が良いと思いますが、
業態によって多少違います。

おすすめメニューは、
売り切れごめんで良いです。
常連客に飽きさせないようにする工夫しましょう。

究極のおすすめメニュー

以前海鮮居酒屋をやっていた時に魚の配送が遅れて、夕方の営業直前になってしまったことがありました。

おすすめメニューを書く時間もなかったので、大きな桶の中に魚を並べてワゴンの上にのせて、行商のようにスタッフに客席をまわらせました。

マルのままの魚ですから、迫力ありました。

そして「刺身でも、焼いても、あげても、煮ても600円です」とお客様にアピールしたのです。

これが当たりました。

おすすめメニュー書く時間がないから、苦肉の策としてやったことが、怪我の功名というか、お客様が目の前で素材を見て興奮したのですね。

未来の飲食店には、
メニューというものはなくなる
と思っています。

お客様はAll ではなくEach の時代
になって行くと思います。

売上=客数×客単価×来店頻度

です。
私共はまた行きたくなる店づくり
をしています。

そのために色々なツールを持っています。
女将及び店長の一番の仕事は新規開拓です。

私たちは大手ではありませんので、
コストがかけられません。

そんな中、
最大限の成果を創りだす武器を
持っています。

季節メニューも、
意図を持って創りましょう。

ターゲット客層のお客様の喜ぶ笑顔
が映し出されるような季節メニュー
を創りましょう。


この記事を書いた人

中村 康彦
中村 康彦フードスクエアカンパニー代表
丘里グループは創業50周年を迎えることができました。食を通じて「喜び、幸せ、そして感動」をモットーニ「人」の魅力で他の飲食店と差別化を図り、地元茨城県古河市でナンバーワン企業であり続けることを目指しております。

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